医療やヘルスケア分野でスタートアップが新しいサービスを展開する際、どれだけ優れたアイデアや機能を持っていたとしても、それが想定したターゲットに伝わらなければ、その価値は届きません。このような課題は、多くのスタートアップが直面する現実です。
たとえば、ユーザーや患者にとって、今まで見たこともないような医療サービスを提供している場合、説明が難解で理解に時間がかかったり、または、ありきたりな表現をしたため、新しさが伝わらなかったりすることがあります。これでは、患者や医療従事者の心に残ることなくスルーされてしまう可能性が高いでしょう。
しかし、この問題には解決策があります。それが「デザイン」です。
医療やヘルスケア分野におけるデザインの力とは
デザインと言うと、見た目の美しさやスタイリッシュさに目が行きがちです。しかし、本質的なデザインの役割はそれだけではありません。特に医療やヘルスケア分野では、生命に関わることもあり、情報を整理し、適切に言語化し、ユーザーに正しく伝えることが求められます。このプロセスを「デザインプロセス」と呼ぶことができます。
情報の整理は、医療データや複雑な専門情報をわかりやすい形にまとめ、必要なポイントを整理することです。これにより、ユーザーが重要な情報をすぐに理解できるようになります。
言語化は、サービスの本質や価値を誰にでも分かる言葉で簡潔に表現し、伝えたいメッセージを明確にすることです。
視覚化は、整理された情報やメッセージを図やグラフ、イラストなどで視覚的にわかりやすく表現し、患者や医療従事者に伝えることです。
デザインプロセスのステップを経ることで、機能するデザインへと踏み出します。デザインプロセスは、様々な場面で、活用できます。では、どういった場面で必要でしょうか?ここからは、ポイントと合わせて解説していきます。
ユーザーのハブとなるデザインの実装
デザインは、ユーザーとサービスをつなぐハブのような役割を果たしますが、特に医療やヘルスケア分野では、デザインの役割が健康や生命に直接的な影響を与えることも念頭に置く必要があります。また、薬機法や製薬協コードオブプラクティスといった法制や自主規制が存在します。これらを遵守するため、デザイナーや制作サイドは十分な知識を持ち、デザインや表現を行う必要があります。制約の中で、効果的なデザインを行うことが求められます。
ユーザーのハブとなるデザインとは、前述したデザインプロセスを経てデザインを実装したアウトプットのことをここでは言います。では、どのようなポイントがあるのでしょうか。
ポイント1:視覚的なインパクト
患者や医療従事者に寄り添ったデザインであり、興味を喚起するようなインパクトのある表現を両立すること。
ポイント2:情報の明確さ
必要な情報が簡単に理解できるようにすること。患者や医療従事者に理解を促すように、ストーリー仕立てに情報を整理して見せることも一つのやり方です。
ポイント3:信頼感の醸成
患者や医療従事者のユーザー体験を向上し共感を得ること。
これらのポイントをおさえることで、医療分野においての信頼感や患者や医療従事者との良好な関係を構築していくことができます。
ミッションやビジョンを浸透させるために
医療やヘルスケア分野のスタートアップには、必ず革新的と言っていいミッション、ビジョンがあります。しかし、そのミッション、ビジョンが社内外のメンバーや患者、医療従事者に十分に伝わっていないケースは少なくありません。特に、断片的な情報の羅列では、受け手がその全体像をイメージすることは難しいです。そこで、デザインプロセスが役に立ってきます。
ここでも、デザインが重要な役割を果たします。デザイナーは情報を整理し、ビジュアルや言葉で具現化することで、ミッション、ビジョンを共有しやすくします。これにより、チーム全体が同じ方向を向き、ターゲットにもその価値が伝わりやすくなるのです。
医療系のスタートアップの事例を紹介
手術室の情報融合プラットフォーム「 OPeLiNK」などを運営するスタートアップ企業のOPExPARKのサイトを紹介します。OPExPARKは、最先端のIoT技術を用いて手術室のデジタル化を実現し、世界中の「誰も」が「安全」に「安心」して治療を受けられる未来を目指しています。情報の起点となるミッションと視覚的なインパクトのあるKVのアニメーションとそのコピーワーク、先進的なサービスをメインターゲット(医療従事者)にわかりやすく言語化され、理解度を高めます。視覚的インパクト、情報の明確化、信頼感の醸成がバランス良くデザインされています。
出典:株式会社OPExPARK https://www.opexpark.co.jp/
まとめ
医療やヘルスケア分野のスタートアップに必要なクリエイティブは、単なる見た目のデザインではなく、情報を整理し、言語化し、ビジュアル化をするプロセス全体を指します。このプロセスを経て、サービスのプロダクトアプリのUI/UXデザイン、サービスのロゴデザイン、ランディングページ、説明動画やパンフレット、キャラクター開発といった具体的な制作物へと進んで行きます。これにより、患者や医療従事者にサービスの価値を正しく伝え、心に残る体験を提供することができます。繰り返しますが、デザインは単なる装飾ではなく、医療やヘルスケア分野の成長を支える重要な要素です。この分野で新しいサービスを展開しようとしているスタートアップは、デザインを単なる手段ではなく、戦略的な位置付けとして捉えるべきでしょう。
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