多くの病院にとって、ウェブサイトは単なる情報公開の場ではありません。それは、患者さんが最初に訪れる「デジタル上の玄関」であり、来院前の不安を和らげ、信頼関係を築くための大切な接点です。しかし、その玄関が、すべての人にとって開かれているか、きちんと見えているか、改めて考えたことはありますか?

ウェブアクセシビリティは「患者さんへの、おもてなし」を目指すこと。

ウェブアクセシビリティは、特別なことではありません。多様な患者さんが安心してウェブサイトを利用できるよう、最初から配慮しておくべき「すべての人へのやさしい配慮」です。

1.すべての患者さんに、公平な医療情報を提供へ
【情報格差の解消】
視覚や聴覚に障がいのある方、高齢で操作が不慣れな方など、様々な方が当院のウェブサイトにアクセスします。彼らが情報にアクセスできないことは、情報格差を生み出し、医療格差に繋がりかねません。
【法的義務と国の推奨】
2024年4月には改正障害者差別解消法が施行され、ウェブサイトにも「合理的配慮」の提供が努力義務として求められています。また、デジタル庁や総務省も、誰もが取り残されない情報環境の整備を推進しており、医療機関のウェブサイトも「公的な情報源」としての役割を果たすことが期待されています。

2.患者さんの「安心」と「信頼」を、ウェブサイトで育む
【不安の軽減】
不安を抱えて病院を探す患者さんにとって、使いにくいウェブサイトはさらなるストレスとなり、信頼を損なう原因にもなりかねません。
【満足度向上と選定基準】
必要な情報がすぐに見つかり、予約がスムーズにできるウェブサイトは、患者さんの「安心感」に直結し、当院への「信頼」を深めます。結果として、患者さんの満足度が向上し、口コミや紹介にも繋がり、「選ばれる病院」になるための重要な要素となります。

3.業務効率化と未来への投資は、ウェブサイトで進めることができる
【業務負担の軽減】
「予約方法がわからない」「診療時間がどこに書いてあるか分からない」といった患者さんからの電話や窓口での問い合わせは、日々の業務負担を増やしていませんか?
【生産性向上】
ウェブアクセシビリティの高いサイトは、患者さん自身が疑問を解決できるため、問い合わせ業務の負担を軽減し、スタッフの皆さんが本来の医療業務に集中できる時間を生み出します。これは、長期的に見れば業務効率化と病院全体の生産性向上に繋がる、未来への賢い投資と言えるでしょう。

あなたのウェブサイトは大丈夫? チェックすべきポイント

もしかしたら、あなたのウェブサイトにも以下のような問題があるかもしれません。自己診断してみましょう。

・文字の可読性: 文字のサイズは適切ですか? 拡大・縮小はスムーズにできますか?
・色の識別: 色使いは、色覚障がいのある方にも区別しやすいですか? 文字と背景のコントラストは十分ですか?
・画像・動画の情報提供: 画像に内容を説明するテキスト(代替テキスト)は設定されていますか? 動画には字幕や文字起こしが用意されていますか?
・操作性: マウスだけでなく、キーボードだけでもすべての操作(予約、問い合わせなど)ができますか?

先進事例から学ぶ、医療機関のウェブアクセシビリティへの取り組み

実は、既に多くの医療機関がウェブアクセシビリティの向上に積極的に取り組んでいます。これらの病院は、ウェブアクセシビリティに関する取り組みや達成度を公開し、全ての患者さんにとって使いやすいウェブサイトを目指しています。

ウェブアクセシビリティに関する方針や試験結果を公開し、JIS X 8341-3:2016に基づいた取り組みを進めている医療機関例

横浜市立市民病院
https://yokohama-shiminhosp.jp/index.html
ウェブアクセビリティ方針
https://yokohama-shiminhosp.jp/introduction/accessibility_result.html

大阪医科薬科大学
https://hospital.ompu.ac.jp/index.html
ウェブアクセビリティ方針
https://hospital.ompu.ac.jp/accessibility/index.html

今すぐできる改善策と、専門家の相談するメリット

ウェブアクセシビリティの改善は、一朝一夕で全てが完了するものではありません。しかし、今すぐ始められることも多くあります。

1.身近な改善
文字の大きさを調整可能にする、画像に代替テキストを設定するといった簡単なことからでも、患者さんの使いやすさは大きく向上します。

2.専門家の活用
より包括的で効果的な改善を行うためには、専門的な知識と経験が必要です。専門家は、あなたのウェブサイトを包括的に診断し、どのような患者さんが、どのような状況で困っているのかの特定が可能です。そして、状況に合わせた具体的な改善計画を立案し、その実行までをサポートし、時間や人的リソースの制約がある医療機関の皆様が、効率的かつ確実にウェブアクセシビリティを向上できます。


まとめ

患者さんの笑顔のために、今一度ウェブサイトを見直しませんか?
ウェブアクセシビリティの向上は、単なるウェブサイトの改修ではありません。それは、すべての患者さんに安心して医療情報を提供し、信頼を深め、結果として病院のブランド価値を高めご興味がございましたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。