4月から私たちサンカクカンパニーのクリエイティブチームでは分野ごとにチームを編成し、研究・調査・発表(ブログ)を定期的に行っていく取り組みをしていきます。
今回は、私たち医療チームから最近気になる医療系アプリについてご紹介します。
医療業界では新型コロナウイルスの流行によって、対面せずに診療をする「オンライン診療」に一気に関心が集まりました。さらにオンライン診療に続く新たな治療の選択肢として医療系アプリが急激に進歩してきています。今後様々な場面で活用されることになるでしょう。
そこで今回は、これから注目の集まる医療系アプリの特徴をデザインの視点を踏まえて探っていきます。医療系アプリの今後へ向けたヒントが隠されていないかと考えています。
医療系アプリとは?
医療系アプリには2つの種類があると私たちは考えました。
1つは、ダイエットサポートや歩数計、睡眠記録を登録して眠りの質を管理する健康管理用の『ヘルスケアアプリ』。
もう1つは、デジタルの力を利用した診療、病気の治療のために活用される『治療用アプリ』です。
様々な場面での使用を想定されているため、このようにアプリを2種類に分け、ユーザーが使い分けていると考えられます。
では医療系アプリには、どのようなメリットがあるのか探っていきます。
医療系アプリを使うとどのようなメリットがあるのか…
患者側/医療機関側でそれぞれみていきましょう。
1.患者側のメリット
・通院負担の軽減
スマートフォンやタブレットから診療・治療に取り組めるため、通院時間や交通費の負担が減ります。
・診療や相談のリアルタイム化の実現
的確なタイミングで医師からの診療・相談を受けられるようになります。
・お薬⼿帳の管理が不要に
お薬⼿帳の代わりにスマホアプリを利⽤すれば、持ち運びの⼿間や紛失リスクをなくすことができます。
・⽣活習慣の動機付けにも役⽴つ
ヘルスケアアプリを日々使用し、医師と共有することで、日々の体重・脈拍・生活行動など生活習慣の改善に役立つとされています。
2.医療機関側のメリット
・治療の空白を埋められる
通常、医師による診察がない期間は、患者へのフォローを十分に行うことができません。しかし、アプリを利用すれば、患者の日々の状態をデータとして収集できます。
・カルテとの自動連携が可能になる
タブレットに投薬・バイタル値などを入力すると自動的にカルテと連携するアプリがあります。これによって、医師と看護師間の情報共有が容易になります。
・医師やスタッフの負担軽減
診察の予約からお会計までオンライン上で完結することができるので、医師やスタッフの業務が効率化され、省力化を実現できます。
医療系アプリのデザイン
医療系アプリのデザインでは『ユーザー中心のデザイン思考』が必要とされていると私たちは考えています。
ユーザーにとって価値のあるサービスかどうか、使いやすく必要な時に直感的に操作できるUIとなっているかなど、UX・UIを含めデザインでの視点が必須となります。
では、上記でご紹介した『ヘルスケアアプリ』『治療用アプリ』それぞれのデザインの特徴を具体例を踏まえて考察していきます。
治療用アプリ
治療用アプリは「オンライン診療」「往診」「現在の症状」「薬手帳」そのほかにも病院の検索だったりとかなりの多機能アプリとなっているのが特徴です。
そのため、デザインはシンプルに、必要な部分にだけ色を使用することで、導線がスムーズで直感的に操作でるように工夫されています。
日々の使いやすさではなく『困った時の使いやすさ』をしっかりと考えたデザインです。またアクセントにシンプルなイラストを使用することで、堅い印象が和らいで、親しみやすい印象になります。
デザインが優れている治療用アプリ例
オンライン診療・服薬指導アプリ CLINICS(クリニクス)
通院をサポートするオンライン診療・服薬指導アプリ。
オンラインで全てが完結できることで病院へ行くハードルがグッと下がります。タブが3つに絞られていてUIもシンプルで、体調が崩れている時でも躊躇わずに使用することができます。
https://clinics-app.com/
オンライン診療・往診予約アプリ みてねコールドクター
最短30分で医師が到着。往診サービスアプリ。
各状態がわかりやすくアクセシビリティの高いデザインです。こちらのアプリでは診療費請求も後日で請求方法複数あり、そのあたりも気にせず使うことができるアプリです。
https://calldoctor.jp/
ヘルスケアアプリ
ヘルスケアアプリは「シンプルなサービス」「柔らかい色味やフォント」「やさしい印象をうけるイラスト」が使用されており、毎日使用する上で苦痛にならないデザインを心がけていることが見られます。
また背景色などをカスタマイズできる機能や、経過がわかりやすくグラフで可視化されていたりと、日々継続して利用してもらうための工夫が沢山されているのが特徴ですね。
デザインが優れているヘルスケアアプリ例
妊娠記録・日記アプリ トツキトオカ
夫婦で共有できる妊娠記録・日記アプリ。
毎日変化する可愛らしいイラストが特徴。丸みのあるデザインにシャドウもつけていたりと妊婦さんに使いやすいデザインですね。
https://www.totsukitoka-apps.com/index.html.ja
生理周期管理アプリ Cube
生理の記録と予測ができる生理周期管理のiPhoneアプリ。
生理周期管理という内容を想像させないデザインとなっており、外でも気兼ねなく使用できる工夫がされてます。
https://flaskapp.com/ja/cube/
医療系アプリの将来
医療分野においては、すでにアプリが実際に導入されて治療や医療機関の情報連携などに活用されています。
将来的にさらに普及することは容易に想像できます。また普及した先にあるのは、『スーパーアプリ化』だと私たちは考えます。
現在は「ヘルスケアアプリ」と「治療用アプリ」で別れていますが、人々のアプリ使用が当たり前になった時、使いやすさ向上のために統合する流れになると予測できるからです。
なのでデザイナーとしては将来スーパーアプリ化に向けたデザイン性を模索していく必要があると考えています。
すでに日常生活のあらゆる場面で活用する機会の多い「LINE」のサービス。
すでにスーパーアプリ化している『LINE』では、ユーザーがトンマナやデザインに見慣れているため、医療サービスを始めても戸惑うことなく使いやすいといったメリットがあります。
これからスーパーアプリ化を目指すうえで、まずはサービスの浸透とユーザーに愛着を持ってもらうことが大事ということです。
LINEアプリ上で診療の予約、無料ビデオ通話での診療、決済を完結することができるサービス。2022年12月には、オンライン服薬指導の提供も開始。
新しくアプリをダウンロードする必要がなく、日常的に使用するLINEのアプリ上で全て完結することができるため、本格的に参入していけばどんどん普及していくでしょう。
https://doctor.line.me/user
まとめ
いかがでしたでしょうか。治療系アプリもヘルスケアアプリも、すでに使われている方も多いかもしれません。今後は、さらに利用者が増え、医療系アプリがより身近なものになっていくことでしょう。
ヘルスケアアプリで日々の健康管理を行い、いざという時に治療用アプリを使うことで生活がより便利で豊かになり、さらには1つのアプリで医療が全て完結するなんて未来もそう遠くはないでしょう。
医療系アプリの将来に目が離せません。
私たちは今後も調査を続けてまいります!